「憲法九条の会・生駒」お知らせ 2020年4月23日号外(部内資料)



・・・(憲法9条に係わる最近の動きから)・・・


「新型コロナ」で、改憲「緊急事態」の強権を危惧する!

ナチ前夜と相似点ないか?・・・・

石田勇治東京大学大学院教授(ドイツ近現代史が語る。 

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いしだ・ゆうじ 1957年生まれ。独マールブルク大で博士号を取得。
ベルリン工科大客員研究員、ハレ大客員教授を歴任。
著書に「過去の克服」「20世紀ドイツ史」
共著に「ナチスの『手口』と緊急事態条項」など。

 

 早期終息を願うばかりに、国民の方が私権制限を望んでいないか、今回の緊急事態宣言は、憲法を改定しての「緊急事態条項」創設の予行演習と位置づけられているようで、政府・与党の思惑が透けて見えます。
 今回の特措法でも、外出の自粛要請や学校・集会施設の使用制限だけでなく、指定公共機関となったNHKへの指示や土地・建物・物資の収用など、強制力を伴う措置を広い範囲で講じることができる。「コロナ」のため異論は唱えにくいが、緊急事態が長引いた場合(その可能性大)、私権制約を容認する『例外状態』に国民が慣らされてしまわないか、集会もデモもできない状況で、政府に不満や批判があっても押し黙ってしまうのではないか、心配です。
 脳裏に浮かぶのは、当時世界で最も民主的といわれた(ドイツ)ワイマール憲法が骨抜きにされ、ヒトラーが短期間で独裁体制を築いた道筋です。その過程で緊急事態条項が徹底して乱用された。ヒトラー政権成立後、わずか半年でナチ一党独裁国家となった。今の日本は特措法による緊急事態宣言だが、これが憲法に書かれると、戦争・内乱・恐慌・大災害などの非常事態において、通常の法秩序を一時停止して、緊急措置をとる権限を政府が行使することとなる。「委任独裁」(危機に直面した主権者が、為政者に委任して生じる独裁)は何としても避けなければならない。

(以上、毎日新聞4月15日夕刊より引用)

 

 4月7日の衆院議員運営委員会で、日本維新の会の遠藤敬議員は「国民生活への強制力担保のため、憲法改正による緊急事態条項の創設は不可欠だ」と主張、これに対し、安倍首相は「極めて重く重大な課題である。自民党改憲4項目にも緊急事態対応が含まれている。新型コロナへの対応をふまえつつ、憲法審査会の場で与野党の枠を超えた活発な論議が展開されることを期待する」とコロナを利用して、かねてから狙っている改憲を実現しようとする意図を露呈しました。


 

 安倍政権が「コロナ」に乗じて

 火事場どろぼう的暴走、次々と強行狙う

 

 政府が先に発表した複雑な条件付き「30万円給付」を撤回し、国民1人あたり無条件に10万円の現金給付を実施する2020年度補正予算案を慌ただしく今月中に成立させることとしましたが、このドサクサにとんでもない暴走を企んでいます。

 ①自民・公明与党は4月16日、上記の憲法改悪への論議の導入を狙って、衆院憲法審査会幹事懇 談会を開こうとしましたが、野党の強い反対でこの日は開催できませんでした。しかし執念深く野党を抱きこもうとしています。

 ②安倍政権は1月31日、黒川東京高検検事長の定年を延長する閣議決定を強行しました。「国家公務員法の定年延長は検察官には適用されない」という、それまでの政府見解を投げ捨てる違法な「解釈変更」でその正当化を主張しましたが、多くの批判がわき起こりました。そこで今度は、検事長など検察幹部の人事を首相官邸が握る「検察庁法改定案」を作成し、4月16日に国会の審議入りを強行しました。検察の独立性の根幹を根本から揺るがすもので、こんなことまで首相官邸が握ろうとは、何という官邸独裁か!

 ③年金制度改定法案は、野党の反対を押し切って、
4月14日の衆院本会議で審議入りを強行しました。公的年金の受取開始時期を75歳まで拡大する(現行70歳まで)もので、年金を実質削減するマクロ経済スライドはそのままです。社会保障の政治の責任を放棄し、老後の生活は1人1人の「自己責任」で、という安倍政権の方針に基づく制度改変です。人間の人生設計にかかわる年金制度の改変を、「コロナ」で大変なこの時期に急ぐ理由は何もありません。
 ④4月16日に衆院を通過した国家戦略特区法改定案(スーパーシテイ法案)も重大な問題をはらんでいます。人工知能(AI)やビッグデータなどの先端的な技術を使った事業を、官邸主導の「規制緩和」で導入するものです。個人情報の収集・活用で住民のプライバシー保護や権利がないがしろにされる恐れが濃厚です。特定の企業が優遇される仕組みが導入されます。

 


 

後期高齢者医療保険料が、全47都道府県で一斉に値上げへ

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後期高齢者医療保険料見込額

 75歳以上が加入する後期高齢者医療の2020~2021年度保険料が、全国平均で7.4%(439円)増の月6397円になる見込みであることが厚労省資料から判明しました。
奈良県は500円増の6872円に)
この保険料は各都道府県の広域連合が2年ごとに見直していますが、2008年度の制度導入以来、初めての一斉値上げとなります。安倍政権は20年度から年金が年80万以下の人の窓口負担1割の特例を廃止し3割にした。
また80万超168万以下の人も21年度から3割負担になるなど、医療制度改悪を進めています。