「憲法九条の会・生駒」お知らせ 2016年12月26日号(部内資料)


 
・・・(憲法9条に係わる最近の動きから)・・・

南京事件映画と講演会、会場満席に、大きな感動!
 
生駒セイセイビルで12月18日、新作の南京事件ドキュメンタリー映画「太平門 消えた1300人」が上映され、あと松岡監督の講演を聞きました。約270名が参加、会場は満席でした。
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元小学校教師だった松岡さんは、1988年に初めて中国の南京を訪問、日中戦争時の日本軍の暴行虐殺事件(1937年12月)について、被害者本人しか語れない具体的な状況を聞き、それ以来この歴史的事実や被害者の痛みを知ろうと、今日まで約80回にわたって南京を訪問、南京で聞き取り調査をした中国人は延べ300人以上にのぼります。
同時に日本国内では、南京事件に日本軍兵士として参加した元兵士を捜し出し、250人以上から取材、南京における日本軍加害の具体的真実を聞き出しました。松岡さんは、これら被害と加害の両方の体験者の証言の数々を今回の映画にまとめています。講演では、このような取り組み、経過を話されました。
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(主催は、奈良県生駒市の、平和委員会、新婦人、革新懇九条の会、歴教協、子どもと教科書ネット、など11団体で構成する実行委員会。後援は奈良新聞社、朝日新聞奈良総局、毎日新聞奈良支局) 
            
◎ 感想文には感動、驚嘆、尊敬の声多く
松岡さんは、調査結果をまとめた証言集、資料研究を出版、また南京事件に関する集会やシンポジウムを日本で数多く開催、さらに南京民間抗日戦争博物館の協力を得て、事件被害者を尋ねて交流する「心のケア」活動も展開しています。
 これらの活動は、「南京事件はウソ、でっち上げ」とか「あの戦争はアジア解放の正義の戦争だった」と主張する靖国神社神道政治連盟日本会議など、日本の右翼勢力に対する断固たる回答となっています。
 国連ユネスコは、2015年10月「南京大虐殺の記録」を世界記憶遺産に登録しましたが、安倍首相は「遺憾」を表明し、菅官房長官ユネスコへの拠出金停止や減額を検討するなどと言い出し、安倍政権は反発しているのです。
参加者は「生々しい戦争の事実を、体験者が語る映画を観たのは初めてです。耳を塞ぎたくなるような話し、胸が苦しくなる」「映画は見ている間、息がつまるほど苦しいものでした。それほど悲惨な事実でした」「すばらしい企画です。非常に意義ある集いです。松岡氏の信念と行動には深く敬意を表します。今日のフィルムも問題を正面から見つめようとする、優れた構成、セレクトされ、凝縮された映像です
「あまりにも重い事実を突き付けられた、という思いです。戦争というものはかくも無残で、野蛮なことなのだと、改めて思い知らされました。一部の人たちは事実から目をそむけ、逆に事実を見つめる者を〝自虐史観"などと非難しているが、そういう無反省の人間が権力を握っているのが日本の現実だ」
南京大虐殺の真実を、大きな衝撃をもって拝見しました。今また教科書を通じて右傾化が進み、大変心配をしております。教科書採択では、教育委員会育鵬社自由社の教科書は採択しないよう申し入れています。近代史をもっと現場の教師も学び、生徒たちも学ぶ、教育関係の方々も頑張ってほしい、〝あきらめない"ことを熱望します」などの感想が寄せられています。
 
 

● オスプレイ墜落 危険な欠陥機は日本から撤去せよ
 防衛省は、事故を小さく見せようと「不時着」と発表しましたが、名護市沿岸の岩礁で大破した機体を見れば、操縦不能の墜落であることは明白です。米海軍安全センターは、航空機事故を分類する4段階の評価で最も重大な「クラスA」に分類しました。オスプレイは、滑走路の必要な飛行機と必要ないヘリコプターの、両方の機能を持たせるという、その特殊な構造から、開発段階から相次いで墜落死亡事故を起こしてきました。同機は、横田基地厚木基地、キャンプ富士、岩国基地などにも飛来し、訓練を繰り返しています。今回の事故は、沖縄にとどまらず、全国各地の住民の安全に係わる問題です。
 

● 自衛隊体験入隊中高生 年間5千人超える
 全国の高校の約4割で自衛隊勧誘の説明会が開かれ、すでに体験入隊に参加した中学生・高校生は過去4年間、毎年5000人以上にのぼります。正規社員の就職難のいっぽう、戦争法の具体化で任務と危険が拡大する自衛隊の志願者数が減る中、中高生への勧誘の動きが強まっています。
 「危険なことはない」「いつでも辞められる」「運転免許がタダで取れる」「大学に進学できる」・・・などの甘い言葉。 農業以外に目ぼしい地場産業がない青森県では、安定した収入がある自衛官を希望する生徒が多く、男子生徒の5人に1人は自衛隊を選んでいます。

 
● 自衛隊PKO 弔慰金9千万円に増額
 防衛省は12月6日、南スーダンに派遣された自衛隊員が、「駆けつけ警護」の任務中に死亡したり、重度障害になった場合の弔意・見舞金の最高限度額を、現行の6千万円から9千万円に引き上げました。任務を実施した場合は、1回あたり8千円の手当を支給することも決定しました。これとは別に、「国際平和協力手当」(日額1万6千円)もあります。これらを総合すると、PKOとしては過去最高の支給額となります。こんなに出すから、家族は安心せよとでもいうのでしょうか!
 
● 自衛官の母が国を提訴 南スーダン派遣差しどめを
 自衛官の息子をもつ北海道千歳市の50代の母親が、「自衛隊南スーダンへの派遣は憲法違反」と、派遣差し止めと撤退などを求めて11月30日、札幌地裁に提訴しました。原告弁護団は「戦争法が具体的に作動し、立憲主義が崩されるこの局面での、PKO派遣の違憲性を真正面から事実で迫る、この訴訟の意義は誠に大きい」と強調。原告の母親は実名とは別の「平和子(たいらかずこ)」と名乗り、自衛隊員の家族として、平和的生存権を侵害され精神的苦痛を受けたとして、国に対し20万円の国家賠償も求めています。平さんは札幌市や千歳市で「駆けつけ警護で隊員が犠牲になる。自分が産んだ子も、誰の子どもも死なせたくない」とマイクを持って訴えてきました。訴状は「①各国の軍隊が派遣されるPKOは、本質的に軍事力行使であり、自衛隊がその一員として活動することは、憲法9条1項が禁止する「武力の行使」にあたる。②憲法9条の政府解釈に立っても、自衛隊海外派遣は自国防衛の範囲を超え、明らかに「専守防衛」に反し、9条2項の戦力不保持規定に反する」と指摘しています。
 
◎みなさんの、「憲法九条の会・生駒」への賛同募金をお待ちしております。
      「郵便振替口座 00930-9-278631 憲法九条の会・生駒」へお願いします。
 
・・・・・・こ れ か ら の 予 定・・・・・・
 
1月9(金)核廃絶国際署名宣伝行動(11時~生駒駅
1月19(木)憲法改悪反対・南スーダン派遣反対・沖縄高江工事反対の宣伝行動(11時~ 生駒駅
2月2(木)憲法奈良県共同センター「第1回憲法カフェ:定員30人」宮尾弁護士(15時~セイセイビル4階)
2月18(土)南第2小校区九条の会憲法カフェ」(13:30~南コミセン「せせらぎ301」講師;池田順作)

       
第148回 「憲法九条の会・生駒」運営委員会
        2017年1月10日(火)12:30~14:30 たけまるホール研修5
当会は運営委員を決めていません。当日参加された会員(1日運営委員)で構成しています。
        お時間が許せばご参加賜りたく、ご案内申し上げます。
 
生駒市は「政権批判」を理由とする「後援規程」を見直せ!!

11月22日のキャラバン対市交渉で、「憲法九条の会・生駒」が陳述した内容(要旨)

2016年2月20日の「憲法九条の会・生駒」創立11周年記念集会について、その後援を生駒市に申請したところ、「参加団体が、政権批判を行う団体である。政治活動を行う恐れがある。」を理由に、後援を拒否しました。(参加団体とは、シールズ、ママの会、自由と平和のための京大有志の会、の3団体)当時、これについて「九条の会」はその理由を質すため、生駒市に会談を申し入れていましたが、これも拒否していましたので、今回キャラバンの席上で、正式に我々の主張を展開しました。
                                2016年11月22日

生駒市生駒市教育委員会の「憲法九条の会・生駒の後援不承認」について
                                憲法九条の会・生駒  池田順作
 
 生駒市生駒市教育委員会に対し、2016年2月20日生駒市コミュニテイセンターで行われた「憲法九条の会・生駒」主催の「創立11周年記念集会」の後援を要請したところ、同年2月5日付けで市長及び教育長の名で「不承認とすることに決定」との通知がありました。その理由として、「共催団体及び参加予定団体は政権批判を前面に打ち出している団体であり、政治活動等を行う恐れ」があり「政治的活動である」から、とされています。
 
① 政府を批判できる自由こそ、民主主義社会の基本
しかし、その時の政府が行う政治、その政策を批判する自由は、民主主義社会の根本的な問題です。これまで政府が誤った政治、誤った施策を実施した例はたくさんあります。これを防ぐ力は国民の批判の声です。国民が政府を批判できる自由が大切です。
 日本国憲法の前文に、こういうくだりがあります。「政府の行為によって再び戦争の惨禍が起ることのないようにすることを決意し、ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する。」 これは、政府が戦争という誤った政治、誤った政策を選択することがあったことを、憲法がはっきり認めているのです。そしてアジア諸国民並びに日本国民に多大な戦争の惨禍を与えた、このことは二度と繰り返してはならない。その国の主権、すなわち政治のあり方を決める主体は権力者の側にあるのではなく、国民の側にある、ということを宣言しつつ、この憲法は制定された、と明確に述べています。
 
② 戦前の軍国主義を許してしまった教訓
当時、戦争の道へつき進む政府や軍部を批判する人々はいました。しかし、彼らは非国民と批判され、治安維持法によって連行・逮捕され、拷問を受けたりしました。こうして国民が政府・軍部を批判する自由は完全に奪われました。モノが言えない社会になりました。ここから導かれる教訓は、いつの時代でも国民が政府の政策、政府が行う政治を批判できる自由がいかに大切か、それは民主主義社会の根幹だということです。
 
③「集団的自衛権行使容認」「安保関連法」は憲法違反・・それが言える自由こそ
一昨年、政府は「集団的自衛権行使容認」の閣議決定を行い、昨年は「安保関連法」を国会で強行採決して成立させました。日本中の大多数の憲法学者や日本弁護士連合会(日弁連)は、この法律は憲法9条違反だとはっきり断定しました。法律の専門家である弁護士(全国で約3万6千人)は、必ず日弁連に加入・登録しなければなりません(強制加入制度――弁護士法)。しかし、日本中の弁護士は当然ながら、自民党支持民進党支持など政治的立場はさまざまです。しかし、どういう政治的立場であっても、あの「安保関連法」は自衛隊の海外での戦争に道を開くものであるため、これは憲法9条戦争放棄)違反だと、日弁連は内部の長い慎重な検討の上、はっきりそういう結論を出したのです。 
昨年6月4日衆議院憲法審査会の席上で、自民党推薦の参考人長谷部恭男早稲田大教授ですら「安保関連法は憲法違反だ」とはっきり断定しました。
 さらに戦後60年あまり内閣は次々と変わったけれども、国会で歴代の内閣法制局長官は「憲法9条の下では、集団的自衛権行使は認められない」と一貫して答弁してきました。内閣法制局は、政府が提出する法案が憲法違反にならないかどうかを専門的に検討し、政府に助言するところです。しかし、安倍政権になってから内閣法制局長官の首をすげ替え、政権の意向に沿う人物を任命し、新長官は史上初めて「集団的自衛権行使は憲法9条に違反しない」と言い出しました。
 戦後60年あまり一貫してきた政府の立場、また日本の全弁護士が加入する日弁連が「集団的自衛権行使は、憲法9条に違反する」とはっきり表明している集団的自衛権や安保関連法の問題、これらの問題について、テレビや新聞紙上でもさまざまな多くの意見が交わされました。こういう中で、市民が集会を開いて自由に意見を出し合う、これは民主主義社会においては、まったく当たり前のことではないでしょうか? 
 
④ 市民が政権批判できる自由な集会を、地方自治体は擁護すべき
 「憲法九条の会・生駒」は創立以来、憲法九条こそが日本の平和の確かな保障であり、戦後70年余りにわたって、日本が戦争せず平和国家としてやってこられたのは、憲法九条の力に依拠している、それが海外で戦争する道へ踏み出すことをくい止めている、と考えています。「憲法九条の会・生駒」が主催する集会で、憲法九条に違反する(と、歴代内閣法制局長官日弁連も判定した)法案や政府の政策について、市民から政権批判の意見が出されたとしても、それはあまりにも当然のことではないでしょうか。それは言論の自由が保障された民主主義社会として健全であることの証明ではないでしょうか。
 
市民団体が開いた集会で「この法案は憲法違反ではないか、という政権批判」が出るとしても、これを「政治的である」として、こういう集会を後援しないという態度は「いかなる政権批判も許さない」ことになり、生駒市が政治的中立の立場を放棄している、と言わざるをえません。どんな問題でも、広く市民が意見を交換できる場として、こういう集会を開くことは日本の民主主義を推し進める点で、行政は側面から援助するべきではありませんか? 
 
私たちは、生駒市が「憲法九条の会・生駒」の立場に全面的に賛同せよ、と要求しているのではありません。しかし憲法99条は「天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負う。」とありますから、生駒市も「憲法九条の会・生駒」も「憲法を尊重し擁護する」という点では共通の立場にあります。
以上の諸点を充分に考慮されたうえ、「生駒市及び生駒市教育委員会の後援等名義使用承認基準」の内容及びその運用について、再検討されることを強く要望します。
(12/22現在、回答なし)