「憲法九条の会・生駒」お知らせ 2018年12月25日号(部内資料)
・・・(憲法9条に係わる最近の動きから)・・・
最新鋭戦闘機などトランプいいなり、米国から爆買い、
さらに空母も保有
安倍政権、国民の命削って軍備拡大に27兆円
日本の軍事予算は今年度5兆3千億円余りですが、安倍政権は12月18日、新たな「防衛計画の大綱」と今後5年間の中期防衛力整備計画(中期防、2019~2023年度、総額27兆4700億円)を閣議決定しました。一方では、来年10月から消費税を10%に値上げし、後期高齢者医療保険料の軽減措置を廃止するなど、軍事費増大と同時に、国民負担増・社会保障削減を進めています。
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「専守防衛」って何だ?
ところが、米国から買おうとしているステルス戦闘機F35Bというのは、レーダーにかかりにくい性能(ステルスとは隠密)をもっており、通常これは敵国内の攻撃目標まで低空で無傷で深く侵入し、目標に極めて接近して精密誘導爆弾で正確に攻撃できるというもの。しかも短距離の滑走でも離陸できる、また垂直に離着陸もできる、という高性能なもので、短かい距離の甲板をもつ空母からでも離発着できるため、公海上なるべく敵国に近い距離まで空母で接近してからF35Bを飛ばして侵
入できる、つまり完全に先制攻撃を前提にした軍備拡大です。
護衛艦「いずも」
また航空機やミサイルなどの高額兵器を購入する際、一度で支払わず、代金を複数年に分けて「ツケ払い」する「後年度負担」が、安倍政権になってから大きく膨れあがっています。 過去の後年度負担総額が2018年度当初ですでに5兆円を超えています。これは2019年度以降に持ち越されますから、今後の予算編成でますます軍事費が際限なく膨張することが確定的です。トランプ米大統領は、9月の安倍首相との首脳会談を受けて「日本は米国から膨大な量の軍事装備品を買うことになる」と表明しました。まさに武器の爆買いです。
●海外米兵の3分の1 日本の基地に集中
世界をみると、米軍の海外基地は大幅な縮減傾向(経費節減)にあるにもかかわらず、在日米軍基地は、ほぼ現状維持です。世界各地のすべての米軍基地の全体数は、07年と昨年とを比べて、761から514へ減少、ドイツは268から194へ、イタリアは83から44へ、大幅に減っていますが、日本は124から121で、わずか3減です(日本での経費は日本が負担)。また、米国外の米軍駐留人数全体は、2008年の36万4028人から2018年3月の16万135人へと大幅に減っているのに、なんと日本の駐留人数は4万2496人から5万5026人へ増加しています。
●軍事費増加のいっぽう 国立大学運営交付金は削減 大学は学費値上げへ
日本の研究力が危機に瀕しています。国立大学が2004年に独立行政法人化されてから、運営交付金は減らされ続けてきました。その額はこの14年で1400億円以上にのぼり、特に人件費に充てられる基幹運営費交付金が707億円減らされた結果、86の国立大学のうち63大学で教員採用を抑制し、この10年間で40歳未満の若手教員が1426人、安定的な承継教員が4443人減少したと、国会で追求された文科省が明らかにしました。軍事費とは対照的です。
交付金の削減にともない、学費値上げに踏み切る大学が出ています。東京工大と東京芸大は、現在53万5800円の授業料が来年度10万円値上げされます。高い学費と生活費のため、1日8時間、週5日もバイトせざるをえない学生もいます。
●安倍政権、沖縄辺野古に土砂投入を強行(12/14)
沖縄県民が新基地建設反対をこれまでの選挙で何度も示してきたにもかかわらず、安倍政権は工事を強行しています。沖縄県の試算では、完成までに最低13年、建設費は2兆5千億円をこえるといわれ、政府が建設の口実にしている「普天間基地の1日も早い返還」にはほど遠いものです。政府は県民の「あきらめ感」を狙っているが、デニー知事は「県民の怒りはますます燃え上がる」といいます。来年2月24日は、埋め立ての是非を問う沖縄県民投票です。
意見書」を採択
12月7日、生駒市議会本会議は表題の意見書を全会一致で採択しました。すばらしいことです。全国では340以上の地方自治体が同様の意見書を採択しています。国連の核兵器禁止条約は、国際法史上初めて核兵器の開発、使用を禁止した条約で、50カ国以上が批准すれば発効します。
この条約は昨年7月、国連総会で122カ国という圧倒的多数の賛成で採択され、さらに今年12月5日の国連総会で、この条約の早期署名・批准を求める決議が、賛成126、反対41、棄権16の圧倒的多数で可決されました。しかし、日本政府はいずれにも賛成せず、アメリカの核のカサにしがみつき、広島・長崎の被爆者をはじめ、平和を願う圧倒的多数の国民の核廃絶への願いを無視しています
(安倍9条改憲反対運動のために)
9条の戦争放棄は、どのようにして導入されたか?
さらに7月9日、芦田均衆議院憲法改正委員長は「この議事堂の窓から眺めてみましても、我々の眼に映るものは何であるか? 満目 ( まんもく )しょう ( しょう )条 ( じょう )(見渡す限りものさびしい)たる焼け野原であります。そこに横たわっていた数十万の死体、灰燼 ( かいじん )のバラックに朝夕乾くひまなき孤児と寡婦 ( かふ )の涙。その中から新しき日本の憲章は生まれ出ずべき必然の運命にあったと、内閣はお考えにならないか? ひとり日本ばかりではありませぬ。戦争に勝ったイギリスでも、ウクライナの平野にも、揚子江の楊 ( やなぎ )の陰にも、同じような悲嘆の叫びが聞かれているのであります。この人類の悲嘆と社会の荒廃を静かに見つめて、我々はその人類共通の根本問題が横たわっていることを知りうると思います。この人類共通の熱望たる戦争の放棄と、より高き文化を求める要求と、よりよき生活への願望が、敗戦を契機として一大変革への途を余儀なくさせることは疑いありません。」
また8月27日、貴族院の審議において幣原喜重郎国務相は「実際、この改正案の第9条は戦争の放棄を宣言し、わが国が全世界中最も徹底的な平和運動の先頭に立って、指導的地位を占むることを示すものであります。今日の時勢に、なお国際関係を律する一つの原則として、ある範囲の武力制裁を合理化、合法化せんとするがごときは、過去における幾多の失敗を繰り返す所以 ( ゆえん )でありまして、もはやわが国の学ぶべきことではありませぬ。文明と戦争は結局両立しないものであります。・・・・私はかような信念をもって、この憲法改正案の起草の議にあずかったのであります。」
これより先、1946年1月24日、幣原 ( しではら )喜重郎 ( きじゅうろう )首相(当時)はマッカーサーとの会談で「新憲法に天皇制の護持と戦争放棄・武力保持禁止を盛り込む」ことを提案、マッカーサーはこれに賛同していた。6月に衆議院に提案された政府案は、マッカーサーが示したGHQ草案(天皇は象徴、戦争放棄、封建制度廃止を含む92条の草案)を基にしながら、幣原喜重郎らがそれに修正を加え日本政府案として作成したもの。
マッカーサーは、1946年4月5日の対日理事会(GHQの諮問機関、日本占領の管理機関)において、次のように演説している。「私は戦争放棄という日本の提案を、世界全国民の慎重なる考察のために提供するものである。これはただ1つの途 ( みち )を指し示すものである。国際連合(1945年10月設立)の安全保障機構はその意図の賞賛すべきものであり、その目的の偉大かつ高貴であることは疑えないが、しかし日本がその憲法によって一方的に達成しようと提案するもの、即ち国家主権の行使としての戦争放棄ということを、すべての国家を通じて実現することによってのみ、国際連合の意図と目的(世界平和)を達成しうるのである。」
さらにマッカーサーは「日本国憲法9条は、世界に対して精神的な指導力を与えようと意図したものであり、幣原男爵 ( だんしゃく )の先見の明と経国の才と叡 ( えい )知 ( ち )の記念塔として、永存するだろう。戦争を禁止する条項を憲法に入れるという提案は、私からではなく幣原首相が行ったものだ。首相は、私の職業軍人としての私の経歴を考えると、このような条項を憲法に入れることに対して、私がどんな態度をとるか不安であったので、憲法に関しておそるおそる私に会見の申し込みをしたと言われた。私は首相の提案に驚いたが、首相に私も心から賛成であるというと、首相は明らかに安堵 ( あんど )の表情を示され、私を感動させた。」(1958年、高柳賢三憲法調査会会長が憲法の成立過程を調査するために渡米したとき、高柳の質問「戦争放棄と戦力不保持は、幣原の提案か、マッカーサーの提案か?」に対する回答として、マッカーサーから高柳に送られた書簡より)
私たちの「憲法九条の会・生駒」創立14周年にあたる今月の1日(土)、生駒市コミュニテイセンター文化ホールで、映画「南京・引き裂かれた記憶」(85分)の上映と、その撮影と編集に尽力された松岡環監督の講演会を開き、生駒市内外から127名が参加して鑑賞しました。
かつての戦争によって、日本がアジアの国々とその地に住む多くの人々に、どれほど大きな被害をもたらし、どれほど大きな罪を犯したか、をきちんと認めない人たちが、いま日本国憲法を、とりわけ戦争放棄を謳った9条を変えようと画策している今日、改めて南京事件をはじめとする、あの巨大な戦争犯罪を糾弾しなければならない、そして憲法9条は絶対に守らねばならない、その思いをいっそう強くした1日でした。
みなさんから寄せられた感想の中に、被害に遭われた中国人やその犯罪に参加した元日本軍兵士のナマの証言を聞き、その犯罪の恐ろしさを知り、戦争は決してもう二度としてはならない、という思いを強くした、との感想が多く寄せられました。
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◎ 12/1南京映画と講演会の感想文より抜粋
1.私は地域の小学校6年生に、戦争体験(満州引揚げ)の語り部をしています。1936年に生まれ1946年まで満州(奉天)で過ごしました。父は奉天で日満併合の会社で商売をしていました。両親は1926年に渡満し引揚げまでの20年間、過ごしたことを母が手記に残してくれたので、母の手記を参考に語り部をしています。手記の最後に、絶対戦争をしてはいけない、若い人々、沢山の人々の犠牲の上に今があると遺言を残しています。これからも声の出る限り、語り部を続けたいと思っています。今日の映画はいろいろ思い出して、涙があふれ出ました。すごい映画です。
2.つらい体験をよく語ってくれた。戦争は絶対ダメだとつくづく思う。南京問題は気にはなっていたが、改めてちゃんと聞けてよかった。30万人殺害説の是非の問題は、仮にこの数字がオーバーだとしても、大量虐殺は事実であり、強く非難されるべき問題だ。
3.松岡さんのインタビューの仕方がすごいと思う。相手が言いたくもないことで、言葉を濁しそうになっても、本当にどうやって殺したか、どう強姦されたか、何を見たか、の事実の1つ1つを確認しつつ聞き出した、これは相手との信頼感を作れたからこそ出来たのだろう。その熱意に感服!
4.戦争は、人間を狂気にし、動物以下にしてしまう。日本にいれば普通の善良な兄さん、お父さんのはずが、赤紙1枚で戦場に送られれば、殺人、強盗、強姦、放火、略奪などあらゆる巨大な罪を犯す人間と化す。いや、そうさせられる。本当に狂気になった人もいる。善良な日本人をそうさせたのは誰か? そのように日本を引っ張った責任者は誰か?
5.松岡先生へ、語尾が聞き取りにくかった。高齢者が多い集会、マイクの使用、もう少し工夫を! ありがとうございました。
この1年、安倍政権は結局国会へ憲法改悪の提案を出せずに終わりました。
しかし、安部政権は諦めてはいません。来年は、国会の改憲発議を許すかどうか、国民投票を許すかどうかの最大のヤマ場です。改憲阻止3000万署名の目標達成へむけて、世論に訴え、さらに粘り強く、大胆に広げましょう。
・・・・・・こ れ か ら の 予 定・・・・・・
1月14(月、祝) 生駒南9条の会第3回準備会(14:30~ せせらぎ)
2019年1月9日(火) 12:30~14:30 セイセイビル201
当会は運営委員を決めていません。
当日参加された会員(1日運営委員)で構成しています。
お時間が許せばご参加賜りたく、ご案内申し上げます。
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