「憲法九条の会・生駒」お知らせ 2016年8月23日号(部内資料)

 

・・・(憲法9条に係わる最近の動きから)・・・

日本会議会長「改憲の絶好のチャンスがきた」

 参院選後の7月13日、日本会議田久保忠衛会長は日本外国特派員協会での記者会見で「参院選の結果、改憲の絶好のチャンスを迎えた。私が安倍首相なら、任期内に全力を挙げて実現したい。」と述べました。日本会議は、日本の過去の右翼的潮流を結集して1997年に結成された右翼団体
昨年の4月に日本会議の新会長に就任した田久保氏(杏林大学名誉教授)は、日本会議の機関誌「日本の息吹」同年7月号で、戦争法強行に進む安倍首相を「天が下し給うたリーダー」と礼賛し、「安倍総理のうちになんとしても憲法改正を」「皆さんと共にこの決戦に臨みたい」として、天皇の元首化、9条改定に加え、緊急事態条項、の3点を急がねばならない、と迫っています。いっぽう安倍首相は、今年8月3日の内閣改造後の記者会見で「自分の任期中に改憲を果たしたい、と考えるのは当然だ」と表明し、日本会議と呼応しています。

 

● 産経新聞とFNNが悪質、恣意的な世論調査、まさに「天皇の政治利用」
 8月8日、天皇生前退位の思いを公表されたことに関連して、産経新聞とFNNが世論調査を行い、「今後、天皇生前退位が可能となるように、憲法を改正してもよいと思いますか、思いませんか?」という設問に対し、「よいと思う」が84.7%だったと報道しています。
日本国憲法には、天皇生前退位を禁じる条文・文言はどこにもなく、それは皇位継承など皇室関連事項を定めた皇室典範の改正で可能なことで、この改正は一般の法律と同じく、国会で審議し改正できるのです。
 上記の設問の仕方そのものが、あたかも改憲しなければ生前退位ができないかのような、国民の中に改憲ムードを高める印象操作、世論誘導をねらっている、極めて意図的、悪質なものと言わざるをえません。
        
● 第3次安倍内閣、自民全閣僚が「靖国」派
 8月3日発足の第3次安倍内閣。閣僚20人のうち、公明党の石井国交相以外の19人は、

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↑別表のように「靖国」派の政治家で占められています。彼らはいずれも「靖国史観」に立って過去の戦争を美化、正当化し、首相や天皇靖国神社参拝を求めたり、同神社への集団参拝を繰り返してきました。
 特に党内きっての改憲タカ派で知られる稲田前政調会長防衛大臣にすえたことは、明文改憲への安倍首相の強い意思の表われです。今年2月の衆院予算委員会の審議で、稲田氏は「憲法改正について、やりやすいところからやるべきだとの議論もあるが、私は正面から9条2項のような本質的な議論をする。自衛隊憲法違反だという主張が憲法学者の7割をしめるならば、現実に合わなくなっている9条2項をこのままにしておくことこそ、立憲主義を空洞化するものだ。」と首相に9条改憲を迫り、首相もそれに呼応しました。
 他方、稲田氏は名うての「靖国」派です。まだ政界入りする以前のこと、2004年8月15日に靖国神社内で行われた日本会議の集会で、「総理の参拝」を求めながら「神州不滅」など“気迫の演説”をしました。その姿勢が買われ、05年8月の「郵政選挙」で安倍晋三幹事長代理(当時)に「刺客」としてスカウトされ、衆院福井1区から出馬し初当選しました。「東京裁判史観からの脱却」を公言し、侵略戦争正当化の急先鋒です。

過去の稲田発言の数々・・・・・・
 「祖国のために命を捧げても、尊敬も感謝もされない国にモラルもないし、安全保障もあるわけがない。そんな国を誰が命をかけて守るんですか?」(『致知』2012年7月号)
 「靖国神社というのは不戦の誓いをするところではなく、祖国に何かあれば後に続きます、と誓うところでなければならない」(『Will』2006年9月号)
 「長期的には日本独自の核保有を、単なる議論や精神論ではなく、国家戦略として検討すべきではないか」(『正論』2011年3月)
 あれは侵略ではなく、正義の戦争であったとする歴史修正主義憲法破壊の結合という、最悪の「靖国路線」との闘いは、これからいよいよ正念場です。

 

● 「安保法は違憲」各地で集団提訴
 安全保障関連法は憲法違反として、長野県内の学者、弁護士、戦争体験者ら292人が7月26日、国に1人あたり10万円の損害賠償を求める訴訟を長野地裁に起こしました。東京、大阪などに続き8件目です。
 訴状では、平和的生存権、人格権、憲法改正・決定権が侵害され、精神的苦痛を受けたとしています。
またこれらとは別に、北海道から沖縄までの女性106人が8月15日、国に1人あたり10万円の損害賠償を求める訴訟を東京地裁に起こしました。原告は「安保法制違憲訴訟・女の会」のメンバーで40代~80代。ジャーナリスト、元教師、介護や航空業界など幅広い経歴が並んでいます。

 

● 自民党「偏向教師密告」サイトの異常さ
 自民党文部科学部会は、18歳選挙権の実施に伴い、党のホームページ上で「政治的中立を逸脱した学校の先生がいたら、学校名、教員名、授業内容などを書いて投稿してください」という趣旨の「調査」を6月25日から行い、参院選後の7月18日には「事例が集まった」として終了し、サイトを閉鎖しました。党の部会で内容を精査し、場合によっては文部科学省に対応を促すという。
 思い出すのは「長野県2・4教員赤化事件」。1933年2月4日から半年間で138人の小学校教員が「赤化した」との理由で検挙された。この時、文部省や長野県学務当局は「調査」名目で児童らが書いた作文やノート、答案を調べ上げて弾圧を進め、教員の「矯正教育」も実施した。実態は「赤化」とはほど遠いものだった。 昭和恐慌で不況の時代、生糸農家の子も多く、生糸不況のしくみや自分の家の生活状況を考えさせたり、授業内容はその程度だった。だが、同様の「調査」や教員弾圧は、これ以降全国に広がった。治安維持法により、国民への監視と弾圧が吹き荒れた。
 私たちは、決してこの時代に戻してはなりません。


 

● 秘密保護法を推進した内閣情報官の、驚くべき歴史認識

「任期中に改憲を果たしたい」と暴走を加速させている安倍政権の高官で、「安倍首相の懐刀」といわれる北村滋内閣情報官(内閣の情報機関「内閣情報調査室」のトップ、警察庁出身)。同氏が内閣情報官の肩書で、2014年3月発行の論文で力説したのが、日本の過去の侵略戦争を肯定し、国民への思想弾圧を実行した特別高等警察特高警察)などの治安体制を評価し、その流れを引き継ぐ最悪の治安立法とされる秘密保護法の必要性でした。 実際、彼は秘密保護法を成立させるとき辣腕(らつわん)をふるいました。論文は過去の戦争を「大東亜戦争」とあえて表記し、その遂行上治安維持法外事警察がどれほどの大きな役割をもったかを述べるなど、侵略戦争体制への反省は全くなく、むしろその復活さえにじませています。戦後の連合国による内務省特高警察の解体に抵抗する内務官僚、警察官僚の言動を詳しく論じ、戦後の国の機密を保護するための防諜法規の不備を指摘し、秘密保護法の重要性を強調する姿勢はまさに戦前回帰を求める“告白”です。これが安倍政権を支える官僚の1人なのです。

 

● 退役米兵1日平均20人自殺、5万人近い米兵が毎夜道端で寝ている
 米紙ワシントンポスト(7月8日付電子版)は、5万人近い米兵が毎夜道端で寝ている、と報じました。このうちイラク戦争とアフガン戦争から帰還してホームレスになっている元米兵は約12,700人という。
 米退役軍人省の報告でも、軍から離れて5年以内にホームレスになる人は27人に1人の割合。同省は8月3日、退役した米兵の自殺に関する報告書を発表し、2014年は1日平均20人が自殺している、そして自殺した退役米兵の約65%は50歳以上であること、しかし自殺率は、世代的には数が少ない18~29歳の若い退役米兵が最も高いこと、などを明らかにしています。
 銃撃や爆撃でイラクの女性、子ども、そして米兵の四肢が吹っ飛ぶ、戦争に従軍した退役米兵の間では、戦地での恐怖体験から心的外傷後ストレス障害PTSD)や外傷性脳損傷(TBI)に苦しんで自殺に追い込まれていきます。怪我などで社会復帰ができず、貧困に陥るケースも少なくありません。
 
 (以下の記事は、前回の7月19日付「お知らせ」に掲載したものを再録)
 『他方、2003年に米英主導で始まったイラク戦争への英国の参戦を検討してきた英国独立調査委員会は7月6日、英国が「平和的な選択肢を使いつくす前に軍事介入を決めた」とする報告書(約6000ページ)を発表し、参戦を決めた当時のブレア首相(労働党)の判断を厳しく批判しました。調査委のチルコット委員長は、ブレア政権がイラク政府の大量破壊兵器保有という「欠陥ある情報」を持ち、「正当化できない確信」に基づき参戦を決めたと指摘、「イラク参戦は誤りだった。あらゆる軍事介入の全ての側面は、最大限厳しく算定し、議論し、異論を唱える必要がある」と語りました。』

 

 このような米英の誤った判断に基づく、誤った戦争、これによって、どれほど多くの人々が殺され、人々の平和な生活が破壊され、動員された兵士が如何に精神障害に苦しんでいるか、果たしてあのような方針は正しかったのか、について過去を検証することは極めて重要です。しかしイラク戦争とアフガン戦争で米国を支持し、自衛隊を派遣した日本政府は、それが正しかったのかどうか、何の検証もしていません。

 

● 憲法9条」は、当時の幣原首相がマッカーサーに提案(1946,1,24会談で)して生まれた
 マッカーサーが1951年5月5日、米上院で「9条は幣原の発案だ」と証言していましたが、これを裏付ける新史料が発見されました。堀尾輝久東大名誉教授は、国会図書館所蔵の憲法調査会資料を探し、今年1月に発見しました。それは岸内閣当時、改憲の議論を始めた憲法調査会の高柳賢三会長が、憲法の制定過程を調査するため1958年に渡米し、直接マッカーサーに質問しました。この会談の記録・書簡の発見です。1958年12月15日付マッカーサーの書簡として「戦争を禁止する条項を憲法に入れるようにという提案は、幣原首相が行ったのです。」「私は提案に驚きましたが、首相に私も心から賛成であるというと、首相は明らかに安どの表情を示され、私を感動させました。」とあります。安倍首相や改憲勢力が「今の憲法マッカーサーに押しつけられた。だから日本人の手で自主憲法を」という論拠を覆すものです。


                             
◎みなさんの、「憲法九条の会・生駒」への賛同募金をお待ちしております。
      「郵便振替口座 00930-9-278631 憲法九条の会・生駒」へお願いします。

 

・・・・・・こ れ か ら の 予 定・・・・・・

・8月27(土)「ベトナムは今」学習会(桂良太郎氏講演 13:00~セイセイビル)

  生駒市平和委員会
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・9月4(日)第11回鹿ノ台校区平和のつどい

(西谷文和氏講演 13:30~鹿ノ台ふれあいホール)
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・9月6(火)核廃絶国際署名行動(11時~12時 生駒駅
・9月8(木)DVD鑑賞会(17:15~19:00 ららポート、原発ゼロへ・生駒の会

 ①NNNドキュメント(米・原発やめた)  

②古館伊知郎氏の報道ステーション「ワイマール憲法の教訓」2016,3,18放送)
 


・9月11(日)ならコープ平和の会・講演会
  「フクシマから5年、健康への影響」入江紀夫小児科医
   (13:30~ 吉田病院大会議室)
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・9月18(日)南京事件現地調査報告会(松岡環さん13:30~ たけまるホール研修6)

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・9月19(月、祝)憲法改悪反対宣伝署名行動(午前11~12時 生駒駅

・9月25(日)九条の会全国交流討論集会(東京)・・・・・どなたか参加しませんか?
      公式サイト→http://www.9-jo.jp/zenkokukouryuu.htm

・12月18(日)映画上映「太平門 消えた1300人」と松岡環講演会

  (13:30~セイセイビル文化ホール)
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 第145回 「憲法九条の会・生駒」運営委員会
        2016年9月9日(金)12:30~14:30 たけまるホール研修5
当会は運営委員を決めていません。当日参加された会員(1日運営委員)で構成しています。
        お時間が許せばご参加賜りたく、ご案内申し上げます。